ユーザーインタビュー
人と足のはなし
vol.1
石川 達朗さん

石川 達朗さん
認定理学療法士(脳卒中)
デイサービス所属
理学療法士として病院でリハビリテーションに従事しながら、自身や患者さんにおける足をケアすることの重要性を知り、足ケアを軸に実践的な足の知識・インソール・靴について学ぶ。現在はデイサービスの管理者として従事しながら、データを用いたリハビリテーションの最適化、地域の活性化に取り組む。
理学療法士としてリハビリテーションに日々取り組む石川さんに、インソールの使用感と、リハビリテーションでの活用の可能性についてお伺いしました。

地面に力が伝わってる感じ
―ご使用いただいているインソールについてお聞かせいただけたらと思います。石川さんはこれまでどのくらいインソールを使いましたか?
今のインソールは半年くらいです。それまでは他社のインソールを入れていました。仕事の時は踵が潰れるタイプの靴なので、履いてる時もあるんですけど、メインはプライベートと通勤で使っています。
―なるほど。プライベートとか通勤で使われてる時に「インソールがあって良かったな」と思うことはありますか?
元々僕の足の形がちょっと歪んでるのか、靴を履いてると結構靴底の後ろの内側が削れてきちゃって。靴を置いてみると内側に傾いているんですよね。でもインソールを入れるとそのすり減りが物の見事になくなってしまいました。靴の寿命も長くなったかな?みたいな。
だいたい靴を履き潰ぶすまで1年ぐらいだったのが、インソールを入れてから使ってても全然、今まで底が削られちゃってたのがなくなってきてる感じがしますね。
―「自分で歩いてて変わったな」と思うことはありますか?
歩き方に関しては、力が入りやすくなってる感じがします。肌感覚ですけど、踵を地面につけた時に力がスムーズに入ってるのかな?っていう感覚はありますね。地面に力が伝わってる感じですね。インソールの踵のところが硬くなってるので、踵をついた時にグラっとしないから安定性が出てるんだろうな、というイメージですね。

インソールなしで靴を履いたら、体が潰れている感覚
―プライベートだと「あって良かったな」と感じたことはありますか?
単純に疲れにくいですよね、足の裏が。インソールがないと靴を履くともう違和感がすごくて、疲れてしまうんです。インソールを入れていなかった時は気が付かなかったんですけど、インソールを入れ始めてからは靴のすり減りだったり、足の疲れっていうのがないことが当たり前になったので、インソールを入れたことによって「入れるとこういう変化が出るんだな」っていうことに気づけました。インソールなしで靴を履いたら、体が潰れてる感覚がしますね。全体的に潰れて、伸びてない感じがします。縮こまってる感じです。
―上半身にも違和感がでる感じなんですか?
そうですね。やっぱり、インソールの影響なのかわからないですけど、この年になって身長が0.8cmぐらい伸びたんですね。でも、身長を測る時ってインソールを入れてないので、インソールとの因果関係は分からないんですけど。もしかしたらインソールを使うことによって重力に打ち勝てるような筋力がついて伸びたのかなっていう。
―話は戻りますが、先ほど「疲れにくい」っていうこともおっしゃってたんですけども。
疲れに関しては単純に同じ距離歩いても疲れなくなったという感じです。ちなみに元々ちょっと左膝を怪我してしまって、長い距離歩くと脛腓関節(けいひかんせつ)の外側のところが痛くなってくるんです。例えばテーマパークとか長いこと出かける時も、やっぱり痛みを感じにくいなって思います。今までは歩き方の問題もあったとは思うんです。関節の痛みがその日の内に出てたのでサポーターとか使ってたんですけど、今はもうサポーターは使ってないです。
野球でヘッドスライディングをちょっと間違えて、手からいかないといけないんですけど、脚からいってしまって。多分その時にちょっと靱帯を緩めちゃったのかな?という感じです。診断はついてないんですけど、6年ぐらい前ですね。一応ちょっと骨が心配だったから1回見てもらったら、骨折はしてないので関節の中の問題だろうな、と。
―左膝の外側が痛くなることがあったけど、インソールを入れている時は楽なんですね。
そうですね。その痛みを感じずに歩けるようになりました。走ったりする時は痛むこともありますが、歩く分には痛みを感じにくいなって思います。

効率の良い歩きができるようになるっていうところが、一番のポイントなんじゃないかな
―そのような痛みや疲れが出てしまうことで、プライベートで遠慮してたこととか、億劫だったけど、インソールを使い始めて感じなくなったことなどはありますか?
健康を意識して、歩いて出勤したりとかそういうのはしたいけれども、やっぱり結局痛みが出てきてしまうからなぁ、と考えたことはありました。そんな感じで動きが制限されてしまうので。今はそれがなく、自分のやりたいような時に歩いたり動いたりっていうのが出来ているので、そこは助かりますよね。
―変化を実感いただいていますが「このインソールのこの要素が効果的なんじゃないかな?と主観的に感じることはありますか?
やっぱり基本的な歩きという話から言いますと、僕たちは踵の骨が最初に地面に接地して、そこから荷重伝達しながら前に進むっていうことになると思うんです。けれども、そのカの傾きが内側に倒れたり、外側に倒れたりっていうのが、歩き方の崩れや痛みなどに繋がってしまうと思っています。
このインソールを使うことによって整えられるっていうのが、僕はやっぱり一番、利用者さんに知ってもらいたいポイントとしてよく挙げてますね。ゆりかごのような形の踵の骨があるから前へ進みやすくなっているんだけれども、その大元が歪んだり傾いていたら、本来進むべき方向に進めなくなってしまうところを、このインソールを使うことによって整えられて、結果、効率の良い歩きができるようになるっていうところが、一番のポイントなんじゃないかな、って思っています。
―怪我されたりとか疲れとかあって、その観点のポイントが強いと感じているんですか?
そうですね。そう感じます。結局のところ、距骨下関節(きょこつかかんせつ)ですよね。ニュートラルに正中線を保っているところを考えると、要は横ブレが発生しなくなることが、推進力にも影響してくると思うので。車で言うと、ブレーキ踏みながらアクセルをかけると燃費悪いじゃないですか。だからなるべく燃費を抑えて歩くっていうことを考えると、やっぱり自分の足の構造で起きる本来の正常な推進力は殺したくないので、そこをアシストしてくれるのが、このインソールなんじゃないかな、って思います。

より活動的に動いてもらえるといいな
―このインソールを施設の利用者さんだったり、同じような医療・介護現場で働かれてる方に勧める場合、どのような方に使っていただくのがいいと思いますか?
いろんなケースがあると思うのですが、膝関節痛とか股関節痛とか、それこそもっと上のレベルの腰痛とか。そういった痛みが「手術じゃないと取り切れないよ。」となる前の方たちに使ってもらいたいな、と思いますね。今後足の問題が影響して、膝や股関節、腰などが変形増悪する可能性がある人たちにも、そうなる前にお勧めしたいな、と思っています。
手術レベルじゃないけど慢性痛化してる方にももちろん使っていただきたいです。やっぱり痛みって、本当に活動レベルを下げる要因の1つになっていると思うんです。少しでも体が軽くなったりして、より活動的に動いてもらえるといいなっていう思いで、利用者さんにはお勧めしてる感じですね。
―施設の利用者さんに絞って「バランス」という観点だといかがですか?
そうですね。利用者さんに関しては片足立ちバランスの時に使う下肢の関節のところが安定するので、重心のブレが少なくなって、やりやすくなったということがあります。そんな変化を見ると、インソールはバランス機能の助けになってるんじゃないかなと思いますね。あとは単純に力が入りやすくなるので、ふらついた時に自分で立て直せる力もつくので、外歩きのときに転倒しなくなったよ、ということは聞いてます。

しっかりとした荷重ラインが作れて装具なし、というものができると良いな
―最後に何かインソールに期待することとかございますか?
インソールに期待することとしては、やっぱり装具の代わりになるということ。装具っていうのは脳卒中の方用ですね。そのような方は短下肢装具(たんかしそうぐ)だったり、ゲイトソリューションっていうものを使って歩いていたりする方も多いのですが、大抵の方が内反尖足(ないはんせんそく)になって、それで外側に体重がかかりやすくなり、足の内側が浮いてしまうケースが多いんですよね。そのような方とよく話す機会があるのですが、いちいち装具を履くのが大変なので、インソールみたいに入れて、それが装具の代わりじゃないですけども、しっかりとした荷重ラインが作れて装具なし、というものができると良いなと思います。麻痺している機能がインソールで手助けしてもらえるといいな、というのはありますね。
麻痺している筋肉の再教育、筋力の出力に対してのカバーリングもできると、そういう方たちがより外出できるんじゃないかなって。今は装具をつけて歩く、というのが億劫だから外に出れないけど、ただ履けばいいだけだったら良いなと思いますね。
―私も脳卒中の方、これまで見させていただいていて、インソールの機能が入った装具ってないじゃないですか?なのでゲイトソリューションは良いと思うんですよね。油圧調整だったり、それらを合体できると結構良いなって。
それは私も思いましたね。ゲイトソリューションは靴をあえて大きくしなくて済むから良いんですけど、シューホーンブレイスとかはどうしても靴のサイズを1サイズから1.5サイズ大きくしないといけないっていう手間もあるので。ゲイトソリューションだったらそのまま行けるっていうのもあるんですけど、もうちょっとやりやすい世の中になってくれると良いなと。
―リハビリでインソールを使うだけでも、筋の出力が入りやすくなったりすることもあるので、そういう用途でも試してみてください。
話が全然変わっちゃうんですけど、靴と装具を一体化してくれるお店があるみたいで、施設の利用者さんがオルトップとか短下肢装具を使ってたんですけど、やっぱり嫌になっちゃって。そのお店では装具のラバーのところを色々加工してくれて、内反尖足になっているのを、そうならないように調整してくれるっていうお店で。「それで今は装具なしで外を歩けるから良かった」と仰ってましたね。
―そういう市場がこれからもっと進歩するかもしれませんね。従来の装具とインソール機能をつけたものが比較できて、もし有用ということなら主流になり得るかも。
そう。楽ですし。やっぱり楽が一番。
インタビューにご協力いただきありがとうございました!

